Cohiba Club

cohibaclub2コイーバ・シガリロの男性版がついに登場した。「COHIBA Club」。Miniと較べ箱の大きさも一回り大きく、背広の外ポケットに入れればサイズはピッタリ。パッケージデザインもMiniを引き伸ばしたように、ぞんざいで粗っぽいがそれがまた男っぽい。ポニーテールのインディアンの横顔もこのパッケージではあきらかに頤がしっかりした男性のそれである。文字のデザインもMiniと同じく筆記体ではあるが、どこかふてぶてしく、「中身の旨さはわかってるだろ」といったように傲慢でさえある。この粗いデザインはキューバの風土を思い起させる。封印はあのドル紙幣のようなキューバ産である証書が貼られてあるのだ。 Miniはフランスだが、Clubはキューバで箱詰めされている。だから箱の中にはシャンゼリゼの空気ではなく、キューバの煙草畑の空気がびっしり入っているのだ。ふたを開ければ、封に描かれた広大な煙草畑がひろがる。この香りは紛う方なきCohibaの香りである。

久しぶりにCohibaとの邂逅である。おもむろに一本取り出せば、太い。Miniよりはるかに太く、スモールパナテラに限りなく近い。この三者をじっくり比較してみれば、Clubの価格設定の素晴らしさがわかるだろう。まあ、BigFatの大御所とくらべれば、質と量の問題でシガリロは量になる。すなわち回数が多く楽しめるということだが、シガリロの良さというのは、朝食が終わって出勤前の新聞とエスプレッソの束の間のひととき、昼食の忙しい午後を控えて、オープンカフェでの一服、午後3時の息抜きしたいティタイムには無くてはならないものである。BigFatはすべてが終わった後の一本であるが、シガリロは途中経過といえる。BigFatのCigarは小説の中の人生だが、シガリロはコラムの中の人生だ。シガリロは決してBigFatの代替品ではない。通勤バスの時間まで15分、ランチタイムの食後が15分、ティタイムが15分。その短い時間にBigFatのCigarをやる御仁はいるだろうか。5ミリほど吸って潔く捨てたり、後生大事に吸い差しをチューブにおさめるなど野暮の極み。15分のシガータイムはどうしたってシガリロでなければならない。忙しい一日の偶然空いてしまった時間をシガリロの紫煙が満たす。所詮BigFatのCigarは一日かけて、あるいは一週間かけて作ったかけがえのない必然的な時間の出来事である。

さて、Cohiba Clubに火をつけてみる。いや、火をつける前に鼻へ持っていって、香りを嗅いでもこの太さなら不自然ではない。葉もしっかりよく詰っている。口にくわえても吸い口がつぶれることもないし、小さな葉もつかない。このくらいの太さは男の武骨な指にもよく似合う。灰も実に黒い。それに驚いたことに味香りの変化まで備わっている。最初はCohibaの爽快な香りが広がる。中ほどから急に味の濃度が増してきて、三分の一あたりからは圧倒される重厚さが何度か訪れるのだ。日常の中に一瞬の非日常が現出する。
15分間の官能と悦楽。Cohiba Clubはシガリロの中のシガリロである。

Posted: January 5th, 2002   |   Category: キューバの葉巻