Partagas Club

そのネーミングから、パルタガスしか供さない都内某会員制シガー・バー(そん な店はない)を思い浮かべそうだが、さにあらず、これはキューバ・シガーを最 も手軽に、かつ味わい深く楽しめるシガリロなのである。

パッケージデザインは、パルタガス・ルタシアナスのミニチュア版のごとく、隅 から隅まで姿かたちはそっくりそのまま生き写し。ボックスはスペイン杉のかわ りに紙製だが、それでもしっかり木目が印刷してあるし、紙テープも文様は同 じ。まるで糊付されているかのようだ。

partagasclub2唯一の相違といえば、縮小率数十パーセントでちぢめたそのサイズか。手のひらに乗り、ポケットにも入る20本入りシガーボックスである。蓋を開けると、裏面にはちゃんと女神たちが描かれ、キュピッドたちもはしゃいでいる。鮮やかなオレンジ色の踊り紙を、本のページを捲るようにして開くと、そこにはさすがにシダーは入ってないが、さすがにあの赤と金のリングは巻かれていないが(そこまでやってくれたら拍手喝采したいところ)、小さいながらも堂々とした、若干ペルフェクトを髣髴とさせるフォルムをした、まさに葉巻と呼ぶべきシガリロが整然と並んでいるのである。その色といい、形といい、思わず顔を箱に埋めて香りを嗅いでしまいたくなる。深く息を吸い込めばあのキューバのエクスタシーがやってくる。これはほんものの香りだ。

一本取り出し、もう一度鼻に押し当てすべらせる。カフェなんかでこれをやった ら回りの人たちはいったい何をこの男はやっているのだろうと怪訝そうな顔をす るに違いないが、シガリロのいいところはあまり場所を選ばず、シガレット感覚 で吸えるところだ。だからべつに勿体ぶって大仰に遠火で炙らなくとも、これは すぐに火が点く。思わずシダーの切れ端で火を点けたくなってしまうほど葉巻ら しいシガリロではあるが。そして一吸いすればそのアロマに驚かされる。香りは まさにルタシアナスの標準サイズと同等。

このシガリロは何時吸うべきか。誰が吸うべきか。コイーバ・ミニが女性向きシ ガリロだとしたら、パルタガス・クラブは男性向きシガリロだろう。いくらルタ シアナスの10分の1の大きさといえども、シガレット・ボックスより大きいし、 シガレットより長くて太い。男の指によく似合う。そしてこれに火を点けるとき は、一日の終りでもない。週末でもない。給料日でもない。やっととれた休日で もない。長男が誕生した日でも人生最後の日でもない。それは毎日の昼食の後が もっともふさわしい。昼休みを一時間しか与えられていない者にとって、ランチ の後にBigFatのシガーを1時間も2時間もかけて吸うのはとても不可能。次の日か ら職を失いかねない。たった15分。それだけの時間があれば十分、キューバ・パ ルタガス・シガーを心ゆくまで堪能し悦楽にひたることができるのだ。

Posted: June 5th, 2000   |   Category: キューバの葉巻