東急世田谷線のシガーな散歩

setagaya-walkシガースモーカーにとって葉巻を吸うことは、場所を選ぶことなく楽しめもするが、各自が特別気に入りの場所を持っているものだ。ある人にとっては、自宅で本を片手に静かに葉巻と過ごすことが好きだし、別のある人は、テレビを見ながら葉巻を吸うのが好きだ。庭、ポーチ、あるいはバルコニーが好きなスモーカーもいるだろう。しかし多くの場合、気に入りの場所を本当の意味で手に入れられるかどうかは、あなたと生活を共有する誰かからの了解がとれるかどうかに懸かっている。例えば、あなたの妻が(又は夫が、又は恋人が)あなたが居間でシガーを燻らすことを望まなかったら、あなたは差障りのない他の場所を見つけださなければならない。
CigarJapan.com は、戸外が、葉巻を楽しむためのたくさんの素晴らしい場を提供してくれていると考えた。散歩の友としての葉巻は、多分、よく訓練された犬と同じくらい上等である。事前の心構えとして、「込み合った場所や禁煙スペースでは吸わない」ということさえ押さえておけば、誰もあなたを悩まさない。葉巻を片手に場所をもとめてウロウロした経験のあるあなた、幸いにもそんな経験が一度もないあなたももちろん、葉巻を手に外へ出よう。気に入りの場所がきっと見つかるはず。

setagaya-walk2今日のシガーな散歩は東急世田谷線に乗車することでスタートする。三軒茶屋の近代的な総合センターの足元から出発するこのローカルな電車は、古い木製の壁と床を纏い、1920年代葉巻文化最盛期の旧き良きシガールームにいるかのごとく乗客をタイムスリップさせる。もしここで葉巻を吸えたなら、どんなに素敵だろう。電車は見た目どうりのゆったりとした乗り心地で、典型的な世田谷の風景に沿いながらCigar Walkの次のストップ上町駅へと私を運ぶ。

setagaya-walk3Amanoya Setagaya 上町駅を下車、徒歩4分ほどで、煙草店天野屋世田谷に到着。(この煙草店の営業時間は、平日午後3時からで、そのためにも、遅い午後の出発が望ましい。)店の外観は、よくある煙草店と変わらないが、一歩店内に踏み込めば、本物のシガーショップを見つけたことがわかる。ワクワクしながらウォーキングヒュミドアを探索。いずれも名のある葉巻産地国からのプレミアムシガーと有名銘柄のプレミアムシガーがとても良い保存状態でならんでいる。オーナーの奥様である社交的な天野婦人は、快くあなたの求める葉巻について助言してくれるばかりか、この魅力ある東京の山の手についておしゃべりもしてくれる。私は、La Cumanesa Cabrera No.2 と Romeo Y Julieta No. 1 の2本の葉巻を買った。戸外で吸う葉巻をイメージしてこの2本を選んだのだが、この選択の理由については次の目的地、小さな美しい公園のベンチで説明したく思う。

setagaya-walk4setagaya-walk5世田谷城趾公園天野屋から歩いて8分ぐらいの距離に世田谷城趾公園がある。すり減った石の階段を上ると、高い木々と、樹木がつくりだした木陰に囲まれた小さな広場に出る。光と陰が交差して趣きのある美しい空間をつくりだしている。私はここで La Cumanesa Cabrera No.2. を吸おうとかねてから決めていた。木々、花々、その他公園にある様々なフレーバーに囲まれても迷うことなく自分を主張できる強いフレーバーを持つこの葉巻は、戸外で吸うのにとても適している。多少の風による横燃えなど気にならない手頃な価格も魅力的である。チューブ入りということで選んだRomeo Y Julieta No.1 は私の胸ポケットの中で出番を待っている。グッドコンディションの葉巻を持って散歩に出かけ、火をつける前に駄目にしてしまったら、こんなに残念なことはない。その点チューブ入りの葉巻は日射しや乾燥、激しい動きからも守られ戸外で持ち歩くには安心である。

setagaya-walk6豪徳寺 は、公園の隣にある。年輪をきざんだ木で古色蒼然とした巨大な総門が、私を迎えてくれた。まだ葉巻を吸っていたら、ここは喫煙を許されていないからすぐに消さなければいけない。深閑とした境内の中にさらに小さな祠がある。ここは招き猫の発祥の地といわれているそうだ。このことは、天野婦人とのおしゃべりで、すでに情報を得ていたから、かけらを持ち帰ると幸運な未来を招くといわれている石もすぐに発見できた。そばに落ちていた石で幸運の石をそっと削った。私の願いごと。削ったかけらを握り、素晴らしい葉巻でいっぱいになっている私のヒュミドールをイメージした。さて・・・。

setagaya-walk7帽子店、人形焼、Cafe Picon Ber 寺から15分ほど歩くと、今日の私の Cigar Walkの最終目的地である小田急線豪徳寺駅周辺の商店街にでる。路上の多くの店は、すでに世田谷線の電車の中で出会った同じレトロの香りを漂よわせている。帽子店の前で足をとめ、シガースモーカーにアクセサリーとして帽子はどうだろうと思いつつ、パナマ帽があるかどうか店では尋ねなかった。まあ、次の機会にしよう。夏は、まだこれからだ。そろそろドリンクタイムだ。Cafe Picon Ber が、角を曲がったところで私を待っていた。この店は、葉巻の喫煙を認めるだけでなく、オーナーは、大いに葉巻を奨励している。もし手持ちの葉巻がなくても、ここには小さな葉巻売り場専用のテーブルさえある。私は、天野屋で買った Romeo Y Julieta No.1のために、キューバ産のラムを選び、2ショット目はヴェネズエラ産のラムを選んだ。
駅に向かう途中で由緒ありそうな店を見つけ、年配の婦人がその場で焼いてくれる人形焼を土産として買った。そして、新宿に向かう小田急線に乗って、慌ただしい都心に戻る。目を閉じて電車の揺れに身をまかし、今日の散歩を想った。
人形焼はまだ暖かい。人生は悪くない。

Posted: April 9th, 2000   |   Category: 葉巻な場所